戦車36%削減に合意 防衛大綱で財務省・防衛庁

戦車36%削減に合意 防衛大綱で財務省防衛庁
http://www.asahi.com/politics/update/1208/005.html
 両省庁は当初から戦車や主要火砲などの重装備は削減する方向で一致していた。例えば、戦車については財務省が現大綱から半減となる425両を主張したが、防衛庁も3割減となる678両を提案。両省庁が歩み寄る形で、戦車のほか戦闘機や護衛艦などの削減についても合意した。潜水艦は現大綱と同じ16隻を維持することになった。

結局、片山主計官はピエロにすぎなかったようで。個人的なスタンドプレーなのか、財務省側の意図的なキャスティングだったのかはわかりませんが。
片山主計官のアレな発言にツッコミを入れたものだかどうだか考えあぐねていたのですが(だってあまりにネタっぽくて)、kojii.netさんの方で適切なツッコミを入れて下さっていたので、リンクいたします。
http://www.kojii.net/opinion/col041206.html

防衛庁財務省は最後に残った陸上自衛隊定員削減で綱引きをしているようですが、150,000〜155,000人の間で決着という噂も流れています。もっとも、150,000人でも定員割れしている陸自の現員数とほぼ同等という話もありますが。
また関連して、次期防で次期主力戦闘機を2009年度に7機配備されること決まった模様で、F/A-22が最有力との憶測が飛び交っています。

で、時代遅れな潜水艦を一隻たりとも減らせなかった片山女史はどういった評価をされるのか、実に興味深いところであります。


以下、ちょうだいしたコメントなどのお返事です。

# guldeen 『潜水艦が『時代遅れの産物』だというのなら、中国の(ものと思われる)原潜があんだけの長時間、日本の領海を侵犯したことで『内外を激しく震撼させた』ことに関しては、この女史はどう説明するんでしょ…。』

領海侵犯の中国原潜、直前にグアムへ 米軍牽制、訓練か
http://www.asahi.com/politics/update/1207/002.html
朝日新聞は、例の漢級の行動について、実に愉快な見識を出していますね。『訓練か』……示威行動って言葉も知らないのでしょうか。中台危機や尖閣諸島問題、あるいは靖国問題や半日教育に絡む日中関係の悪化、くわえて対中ODA廃止検討など、日中間の問題がこれでもかと山積みの中、政治的意図なしに原潜が敢えて今回のような危険な『訓練』などするわけもないと思うのですが。
片山主計官のような官界に限らず、福島社民党党首*1のような政界、マスコミはもうすこしまともな現実認識能力を持って欲しいと思います。

# NARUKAMI 『災害派遣と怪獣出動が無くなったら、宣伝できんではないか!?
・・・後者は関係無いかw
それはともかく、災害時に警察は畑違いでろくに動けないし、消防が対大災害装備を常備したら、それこそ莫大な予算と人事編成が必要になりますわ。』

これも良く指摘されることですが、警察や消防は道路や電話、電気などの最低限のインフラが存在することを前提に活動する組織だし、それらライフラインが無い場所で活動することを前提にしている組織は日本では自衛隊(海だと海上保安庁も)くらいしか無いんですがねぇ。
消防庁とその上の総務省では、「だったら予算と人をつけてくれ!(っていうか無理!)」と悲鳴が上がったとか云う噂も。
何のために自衛隊法83条があるのかと小一時間(ry
法律すら知らない官僚にシビリアンコントロールもナニもあったもんじゃないと思うのだけれど。

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http://d.hatena.ne.jp/b4-tt/20041205#1102256973
自衛隊が災害救助の第一人者ってのは変な話ではあるのですが。ただ、現実を見ないとねぇ。

災害救助専門組織でもあれば別なんでしょうけれど。ただ、上に書いたような「通常のライフラインがない状態で活動する組織」には、どこの国でも軍隊を当てているのが現状です。
社民党自衛隊を解体して災害救助組織(サンダーバード?)を組織する構想を持っているようですが、今の財務省にそんなこと言ったら、「そんな金がどこにある」と一蹴されそうな予感(;・∀・)
吉田茂首相の有名な演説でこんなのがあります。
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。
しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい」
(昭和32年2月、防衛大学校第1回卒業式)
吉田茂首相自体の実施政策には様々な評価があると思いますが、この言葉は軍隊あるいは自衛隊というもののあるべき姿を示した名言だと思います。理想論ではなく現実論、それも必要悪としての苦い現実論ですが。
そして、政治家やマスコミはともかく、官僚は現実主義であって欲しいと思います。


最後に。
私自身は自衛隊の冷戦構造からの脱却と再構築、それに伴う見直しとスリム化には賛成です。
自衛隊も創設50年を迎える(警察予備隊から数えて54年)組織ですから、すでに組織的な無駄や現実に対応できていない部分も多いでしょうし、見直しが必要です。その見直しは、想定される有事の状況と割ける予算から勘案して、必要十分な妥協点を探る作業になるでしょう。防衛庁/自衛隊側も、これまでの組織や装備では変化しつつある周辺事情には対応できないと認識しているのは、これまで予算化を提言してこなかった各種の装備や研究を防衛計画に乗せてきていることからも間違いないでしょう。
そういったなか、現場サイドの防衛庁が(彼らなりの)現実的な積み上げを行っているのに、それを査定するべき官僚サイドある財務省が妄言を弄しているようでは、とても十分な見直しがされているとは思いにくい。
ただただ予算削減ありきでは、下手をすると財務省が自らの権限強化を謀って暗躍しているようにも見えてしまいます。
国防が予算の聖域でなければならないなどと言うつもりは毛頭ありませんが、せめて説得力のある説明をして欲しいと思います。
図らずも、日米開戦の日に「シビリアンコントロール」とは何だろうかと改めて考えさせられてしまいました。

*1:空母からB-52が飛ぶとのたもうたお方