「SS」と言う言葉

最近、異世界日記の感想メールを送っていただくことが多くて大変感謝しております。
ところで、その中で何通か、「面白いSSでした」「いろんなSSを見ましたが、これいいですね」と書いて下さる方がいらっしゃったのですが、この場合のSSってなんの略なんでしょうか。
個人的に「SS」と書くと「Side Story」または「Short Story」の略だと思っていました。場合によっては「ショート・ショート」だとか「Secondary Story*1」の略としているサイトさんも見受けられます。「二次創作小説」の略称としては「FF(=Fan Fiction)」と言うのもありますね。これらの略称がいつどこで案出されたものか知らないのですが、基本的に「ショート・ショート*2」以外はパソコン通信時代以降の産物だと思います。
して、「異世界日記」の場合、限りなく「神話を元ネタにした二次創作」あるいは「神話を元ネタにしたゲームや文芸作品の二次(三次)創作」に近いのですが、一応オリジナルと言うことになっています。
この場合、オリジナルであっても似たようなものなので「SS」と呼ぶのが適切なのか、それとも「オリジナル」と銘打っているものは別の名前で呼ぶべきなのか、イマイチ分かりません。もしかして上に挙げたような訳語以外に、「オンラインオリジナル小説」を指して「SS」と略す言葉があるかもしれないのですが、寡聞にして今まで聞いたことがありません。
語義上は「オリジナル小説」は「SS」ではないと言う分け方が適切だと思いますが、実際には、いわゆる「オンライン二次創作小説」と「オンラインオリジナル小説」の読者はかなり重複していますし、書き手も(読み手ほどではありませんが)両方手がけている人も少なくありません。金銭授受が発生するわけではありませんが、「二次創作小説」と「オリジナル小説」のマーケットはほぼ同一のパイであるか、もしくはかなり近似したものであると言っていいでしょう。
同一マーケットを流通する生産物=商品は、できれば同じ名前で呼ばれていた方が生産者や流通者にとっても消費者にとっても都合がいいわけで、「オリジナル」だろうがなんだろうが「SS」と呼ぶ方がわかりやすくて都合がいい。「オリジナル小説」も略称が「SS」となるような英訳語を捻り出した方が市場意識を統合する意味でも合理的かもしれません。もちろん、この二つを明確に分けて棲み分けすることにも意味はあるかもしれませんが、それは主として美意識の問題かと思います。
結局の所、「オリジナル」であるか「二次創作」であるかなんてのはそれほど重要な区分ではなくて、「ネットで(無料で)提供される」という流通媒体こそが重要だという、実に身も蓋もない結論になってしまいました。

*1:「二次創作」の英訳として正しいかどうか疑問はあるけれど

*2:これはSF用語。星新一のような小話を指すので、「二次創作小説」を指す言葉としては不適だと思われる。