花火の季節ですが

我が家では当年とって10歳の老犬を飼っているのですが、昔から花火や爆竹を酷く怖がっていて、外で破裂音がしようものならパニック状態に陥ります。悪いことに、長野の人間はどういうわけか花火が大好きであり、この時期になると毎夜のようにロケット花火をパンパン打ち上げやがるのであります。
愛すべき老犬の狼狽ぶりに耐えかねた妹が、本日こう呟きました。
「……この子が花火に驚きすぎて心臓麻痺で死んだら、私包丁持って飛び出すかも。そのときは、お兄ちゃん止めないでよね。」
全身をビクビク震わせる老犬を抱きかかえて撫でながらぼそりと言った妹の目は、踏み越えてはいけない一線を踏み越えようとする危うい輝きを纏っていました。
「……止めませんのでどうかご存分になさってください(ガタガタブルブル)」
死体遺棄の片棒を担ぐのは嫌だなぁ思った2005年のお盆でした。