著作権法の非親告罪化!?

ご存じの方は既にご存じでしょうが、この話題には一応触れておくべきだと思うので。

痛いニュース:「著作権法非親告罪化」で“同人作家”等に深刻なダメージか
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/977113.html

ベースソースの方は竹熊先生のブログのようです。先生のブログからリンクされている首相官邸サイトの資料*1を見る限りでは、海賊版被害への対策として取り上げられているようです。
さて、個人的意見として考えたことを簡単にまとめておくと。
まず、非親告罪化が海賊版コピーに対しての根本的な解決策になり得るかというと、極めて疑わしい。先日

海賊版の被害21兆円超 OECDが初の実態調査」
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200705110221.html

というニュースが流れたが、映画やマンガなどの海賊版の製造元はカナダや中国であり、国際的な枠組みの中でそちらを取り締まる方がよっぽど大事なんじゃないかと思う。もちろん国内向けの法整備がいらないとは言わないが、非親告罪化は方法論として正しいとは思えない。根本的な問題解決に取り組むのではなく、とりあえずやりやすい部分から手をつけている感さえある。
こんなことではむしろ、警察による濫用の方がずっと怖い。
海賊版を取り締まるべき法整備であるにもかかわらず、「取り締まりやすいから」とパロディや二次創作に矛先が向けられるのではないかと危惧してしまう。


実際問題、著作権法非親告罪化された場合、出版社やJASRACといった、生産者=作者と消費者=読者・視聴者の間に存在する流通業者や利権団体は保護されるかも知れない。だが、今の文化産業は生産者の多くが模倣やパロディによる拡大再生産によって育成されているからこそ発展しているといっていい。ある程度自由な創作と発表の市場が暗黙の内に認められているからこそ、「オタク産業」なんてものが成立していると言っていい。
そこに、警察が介入できる制度を導入すればどうなるか。
待っているのは「オタク立国日本」の自殺だけだと思う。

追記

著作権は保護されるべきだし、生産者にはもっと利益が還元されるべきだと思います。だから、著作権をもっと制限するべきだという論調にはあまり賛成しません。
ですが、結局中間業者や権利団体ばかりが潤う産業構造は是正されるべきだし、同時に人の創作物を盗んで金儲けをする行為は罰せられてしかるべきだと思います。
再生産・再利用を促すために、正当な利用権を安価に得られる仕組みがあればよいのではないかと思ったりしますが。たとえばWebサイトで音楽を使うための安価な使用権購入制度とか。
あと、海賊版対策は著作権保護という枠組みから切り離して考えた方が良いんじゃないかと思います。海外のコピー商品の方がずっと市場/被害規模はでかいわけだし。