続・装甲空母論

id:cider_kondoさんの日記
http://d.hatena.ne.jp/cider_kondo/20030519#p1
をうけて。

ミッドウェー級装甲空母の完成型、空母の最重要ファクターが搭載機数、この二点はまぁ動かないところでしょう。っていうか、反論の余地無いですね。
ただ、それだけじゃ面白くないので、
「英国型装甲空母は微妙に間違った思想に基づいてる」
については、一応反論を試みてみましょう。
(頭の中整理しつつ書いたので、ちょっと文章がくどいですがご容赦を。)

フォレスタル級やニミッツ級といったある意味完成された航空母艦の姿をを見てしまっている我々としては、「装甲増やしたら飛行機減っちゃいました」なイラストリアス級一家は、やっぱりダメダメなわけですが、第二次世界大戦開戦前の空母は、必ずしも攻撃兵器として充分な実績を上げていなかった、存在自体が割と微妙な船だったと思うんですわ。
まず、タラント空襲でイラストリアスがコンテ・ディ・カブールを沈め、真珠湾攻撃で戦艦8隻がボカチンをくらい、マレー沖でプリンス・オブ・ウェールズとレパルスが沈んで(こっちは空母じゃないけど)、やっとこさ航空機(ひいては空母)の対艦攻撃兵器としての価値が認識されるに至るワケです。
もっとも、この辺の攻撃を企画した側は航空機の能力を充分買っていたでしょうが、実際にやって見せないと納得しない人が大多数ですし。
んで。
イラストリアスが起工された1937年は、スペイン内戦でドイツ空軍が猛威をふるっていた頃ですが、それでも海軍の主力は戦艦だった(と大多数が思っていた)時代。空母の役割は、主戦力の海上艦艇を護衛する、あるいは、駆逐艦やいいところ巡洋艦の頭数を減らすことだったので、一艦に100機も乗せなくてもいいか、という発想は、想像力は貧弱でもごく普通だったと思います。
また、実際に戦争が始まったあと、搭載機は少ないものの重装甲なイラストリアス級が投入される先は、主にマルタ島救援作戦です。
マルタ島の重要性は、まぁご存じの人には言うまでもないことなんですが、北アフリカ、すなわちスエズの確保に直結します。しかも、ジブラルタルからマルタまでは、イタリア空軍(あるいはドイツ空軍)の航空優勢下を突っ切らなくてはいけない。
その頃には、カレイジャス級2隻が沈んで、地中海には虎の子のアーク・ロイヤルと老朽艦のフューリアス、アーガス、イーグルが頑張ってマルタ島に航空機を輸送している状況。
そこに最新鋭のイラストリアスを投入するとなると、かなり心臓に悪い運用になりそうですが、これだけ装甲してる艦なら割と自信を持って行けたんでないかと。
沈まない、叩かれても帰ってくる無敵の航空機輸送船!!
劣勢の戦局でも重装甲故に投入できる信頼感は、1940〜41の地中海において、十分な意味を持っていたのではないでしょうか。


……うわ、説得力ねぇ(笑)
なにが説得力無いかって、実際には戦没した英空母のうち、インド洋のハーミーズ以外航空攻撃で沈んでないところが(爆)
とりあえず、反論してみるという責任は果たしたと言うことで。(汗)
でもまぁ、大航空機部隊を使った機動部隊同士のアウトレンジからの叩き合い、殺られる前に殺れ、って空母の使い方が発明されるまでは、搭載機より防御を優先して、頑丈で沈まない空母という方向性はそれなりにありだったのじゃないかって思うわけです。
あくまで当時はね。