オンライン小説サイト「かざきり羽」の諸問題について読みました

Cancerbunの霞さんが書かれている文章と、そのリンク先でこの問題について扱われており、ざっとですが読ませて貰いました。
どういった問題なのかは、Cancerbunさん(http://blog.livedoor.jp/kasumi8513/)から追っていかれるとわかりやすいと思います。


問題の「かざきり羽」というオンライン小説サイトさんは、オンライン小説サイトとしては割と古株、というかおそらくは老舗と言ってもいいでしょう。私の知る限りでは、こちらに掲載の小説「水晶師【テューカ】」は登録型オンライン小説リンクサイトの「楽園」において、高い人気を持ち殿堂入りとなった作品です。
私自身は、この「水晶師【テューカ】」他数編を読ませていただきましたが、私自身の趣向とは合わなかったものの、作品自体はセミプロを自称されるに値する完成度かと思います。また、更新頻度や執筆速度も充分に高く、オンラインで執筆活動をされている方としては敬意を表するに値するかと思います。
ただ、こういった注目度が高く、ある種草分けとしてリーダーシップをも期待されているオンライン作家さんだけに、作品以外の言動が注意をひき、場合によってはその内容が批判の対象となるのもまた、やむを得ない事といえるでしょう。


今回の件について、私はあくまで傍観者ですので、「かざきり羽」管理人さんとその言動の検証サイトさんどちらかの側に立ってどうこう意見を述べることはしません。しかし、「かざきり羽」管理人氏が少なからず理性的な判断を欠いているとは感じましたが。


今回一通り関連サイトを見せていただいて考えたことは、オンラインサイトを中心にしたコミュニティの立ち位置の難しさについてです。
オンライン小説サイト、あるいはCGなどの創作サイトや作品批評系のサイトでも構いませんが、こういったコミュニティは、オンラインになる以前はコミケットなどの同人誌即売会文化の傍流に位置したものでした。その中では、同人誌や個人誌が何冊売れて、交友範囲にどのくらいの人がいて、ファン=固定客がどれくらいいるのか目に見えて分かりました。その結果として自分自分(あるいはそのサークル)がどのくらいの地位を占めているか、自ずから明らかになりました。
マンガ同人誌即売会自体が商業的なパイを大きく拡大していく中、創作系や批評系の活動はオンライン環境に活動の主軸を移していきました。パブリッシングの容易さ、受け手側のアクセシビリティの向上、そしてコミュニティ形成の自由度の高さ。理由は様々だと思いますが、WEBサイトを中心とした活動が、書籍として出版物を流通させるよりもはるかに簡便なコミュニケーションを提供したことは言うまでもないでしょう。
その代償と言うべきでしょうか。自分を取り巻く創作コミュニティが、より大きな文化コミュニティのなかでどれだけの位置にあり、また、どれだけの影響力を持ちうるモノなのか。そういった立ち位置の見極めは更に困難になったと思います。
大手オンラインニュースサイトやコミュニティサイトにしても、どこからが大手でどこからが中堅なのか明確に見分けることは難しいし、技術トレンドの風向き一つで線引きはすぐに変わってしまいます。また、狭いカルチャの中のメジャーなのか、それとも、もっと大きなカテゴリの中のビッグマイナーなのか、それを判別することは容易ではありません。
そういった立ち位置のわかりにくいオンラインサイトの管理人が、自分の作品ではなく言動がどれだけの影響力を持ちうるか、自覚することの難しさが今回の問題から感じられるように思います。


もちろん、そういった自覚の問題を感じられるようになるには、自分の影響力が把握しにくくなるくらいの支持を得られなければならないのですが。少なくとも、ヒット数で誰が何回見ているだろうか予想が付く、アクセス解析入れてみたけど固定客は×人だね、なんて分かるレベルでは直面しない悩みだとは思いますが。
つまりは、私なんか気にしなくてもいいレベルの、贅沢な問題だと言いたいわけですが。_| ̄|○


後もう一つ。失言をしない方がいいのは確かですが、問題はむしろその失言をどうフォローできるかの方が重要なんでしょうね。id:hotsumaさんも例のリンク集問題に関連して書かれていましたが、素早く丁寧な対応をすることで無用の誤解を避けることが出来るのだと思います。
クレームの芽を小さなうちに摘むことが出来れば、むしろ新たな信頼獲得に繋がるというのが、トラブルシューティングの基本であることは私が取り立てて言うまでもないでしょう。


補足
オンラインコミュニティの形成について考察している部分は、ちょっと未消化だと自分でも思いますし、経験に基づく意見でもありません。私の見識不足を補っていただけるご指摘は歓迎いたします。