三千世界のカラスを薬殺

こないだの都々逸に検索で引っかかった方がいたようで、こんなリファラが残ってました。
http://search.yahoo.co.jp/bin/query?p=%bb%b0%c0%e9%c0%a4%b3%a6%a4%ce%a5%ab%a5%e9%a5%b9%a4%f2%bb%a6%a4%b7+%b0%d5%cc%a3&hc=0&hs=0
おそらく説明するまでもありませんが、この都々逸は高杉晋作の手になるものと言われております。
この都々逸を有名にしたと思われるのは、古典落語の郭話「三枚起請」です。
あらすじは、ググって貰って見て貰うとして、この話の下げ(オチ)にこの都々逸が使われています。
都々逸の意味するところは、こんな感じ。
当時結婚の約束を交わすときには熊野権現の誓詞を交わしたそうですが、この誓詞の言霊を運ぶのが烏の役目だったと信じられていて、もしその誓詞がウソの誓いだった場合、お役目の烏が三羽死ぬと言われていました。
遊女は当然多くの男どもをお客に持たなきゃいけないので、馴染みの客全員にこの誓詞を書くぐらいのことはしたんですが、思い決めた男のためならば他の誓詞を反故にしてでも、つまり熊野中の烏を殺してでも一緒にいたいという、いじましいような、それでいてそれもウソに思えるような、微妙な歌なワケです。
遊女の誠ほど、信じられないけれど信じてみたいと思わせるものもないでしょうな。
後もう一つ、私の知っているこの歌の起源としては、吉原の習慣についてのもので。
吉原の大門は夜10時には閉まって朝6時頃まで開かない。んで、大門の開く時間=朝を告げるのは鳥、この場合鶏ではなくてカラスを指したのだそうで。
カラスが鳴くと思い人は帰ってしまう。いっそカラスが鳴かなければいいのに。
そういう思いがこの都々逸の起源だという説です。
やはり郭話の「明け烏」にこういった話が出てきたハズ(うろ覚え)。
ちなみに、ここで言う「三千世界」とは、仏教用語だそうで、須弥山を中心とする世界と小世界として、小世界が1000集まって小千世界、小千世界が1000集まって中千世界、中千世界が1000集まって大千世界=三千世界だそうで、全宇宙を指す言葉のようです。
遊女の思いは宇宙を越えるのです。(スゴいしめだな)