松下電器について思うこと

松下電器ジャストシステムの特許関連訴訟について、私感のまとめ。
といっても、まずはリンク&トラックバックから。

CNET Japan Blog - 江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance:「一太郎」訴訟にみるソフトウェア特許のぶざまな現状
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/001985.html
(へべれけ日記(id:b4-tt)さん経由)

こちらの記事を読んでいただければ、(ごく一部分を除いて)私の気持ちを代弁して、というか遙かに高度なことを仰っているので、私が取り立てて書き加えることなどありません。このエントリを書いて下さった江島健太郎氏に感謝するとともに、ちらりとでも興味を持たれた方は是非ご一読いただきたいと思います。

なお、ごく一部の異見が何かというと、福沢諭吉の言を引用するのはあんまり感心しないといこと。福沢諭吉は、当時の情勢を機敏に見抜いて『時代の声』を代弁する天才でしたが、それゆえに時代の変化によって発言内容がころりと変わってしまうため、後生の我々から彼の言を読み返してみると、あまりに首尾一貫しない名言ばかりだと感じるからです。(とくに、西洋・東洋論については全く正反対の言動が残っている。)
福沢諭吉とバーナード・ショウは、言葉だけ切り出して引用するにはあまりに都合が良すぎるので、その言を引用するとかえって胡散臭く聞こえると個人的には思います。
以上、極々どうでも良い私見ですが。


さて、江島氏のエントリに賛意を示すと同時に、こちらにも賛同します。

松下電器産業製品不買運動
http://miuras.net/matsushita.html

不買運動に賛同します。
不買運動については、ネット上である企業を的にかけて私的制裁を加える、という一種ヒステリーのように感じられなくもありませんが、同時に、消費者が行える抗議行動にそれほど選択肢がないこともまた事実です。
私自身、他者に同様の不買運動をするよう働きかけるつもりはありませんが、本来日本の産業界をリードするべき位置にいる松下電器産業の公共心を欠いた行動に対するリアクションとして、ごく個人的に不買運動を行おうと思っています。また、署名にも参加しました。松下電器産業に対する一消費者の意思表示として、今回のアンフェアな特許訴訟に抗議します。


あと蛇足ですが。
仕事柄Panasonicブランドのパソコンを扱う機会もありますけど、それとこれとは別問題なので、意図的に調子悪くしたりとかそんなことはしませんよ。罪もないエンドユーザーが困るだけで、松下電器には大してダメージもないし、全くもって本末転倒です。
それと、松下社員に対しては何ら含むところがありません。個人的にかつてつきあいのあった松下電器産業及び松下電工の社員の方などいらっしゃいますが、どの方も実直で誠実な方ばかりでした。某ライバル企業に比べると営業さんが遙かにマジメで、こんなにお人好しな企業風土で大丈夫なのかと、よそ事ながら心配したりもしたものです。
そういった多くの実直な松下社員が居ながら、なぜこのようなある種独善的な訴訟行動を起こしているかについて、私が詳しく知る所ではありませんが、組織の理屈や行動は個人の良心とは全く別の次元で動いている事が間々あるものです。そして、今回の松下電器の行動はそういう『組織の理屈』で動いているものだと私は思います。
個人の良心が反映されない組織はもはや『組織のための組織』であって、価値を創造し顧客と社員に利益を分配する健全な『収益組織』たる資質を失っていると思います。半ば冗談で書いていましたが、松下電器がそういったバランス感覚を欠いた組織に成り果てているのであれば、そんなもの『滅ぼされるべきである』と思います。