つい先日の出来事

週末、秋葉原の雑踏の中で地味な少女にぶつかられる。辺りにぶちまけられる少女の荷物。中には得体の知れないド派手な衣装がたんまり。怪我がないか確認してから荷物を拾ってやる。
ワタワタと荷物をかき集めて慌てて立ち去る少女。そのとき耳に入る周囲の会話。
「あれ、レイヤーの"ゆき"じゃね。」
「うお、マジかよ。全然地味だったじゃん。」
「マジだって。あの衣装昨日会場で見たし。」
「追いかけようぜ。んで……なぁ。」
「うひひ、そうだな。」
「ラッキー〜」
5人ほどの頭の悪そうな男たちが少女の後を追っていく。
なんだかいやな予感がしてその後を追う。
やがて、男たちに路地裏に追いつめられた少女を発見。
「だれかっ!助け……むぐっ」
とっさに取り出したトンファーで暴漢どもを撲殺。
「ふっ。また詰まらぬものをトンファービームの餌食にしてしまった。」
「ありがとうございましたっ!あの、私……」
「あー、警察くると不味いから、さっさと逃げろ。んじゃ俺はこれで。」
何か言いたげな少女を追い立てて、自分自身もそそくさと逃げ出す。
数日後、一般公開しているGmailのアドレスに見慣れないアドレスから届いたメールが。
『この間は助けて下さってありがとうございました。まさか、私を助けてくれたのが異世界日記の中の人だったなんて!……』
意外に丁寧な文章でつづられたメールには、あの少女からの感謝の言葉が踊っていた。
ふと、メールアドレスでググってみると、ネットでも有名なコスプレイヤーのサイトが出てきた。
『是非お会いしてお礼をさせて下さい。』
結びの言葉にとまどい、どう返事を返そうか悩んでいると、突然大きな声が。
「お兄ちゃん!いい加減起きなさいよ!会社遅れるでしょうがっ!さっさとご飯食べて犬の散歩行きなさいよ!!」
妹の怒声に夢から覚めた俺は、心の中で、
それなんてエロゲ。』
と呟いた。