異世界日記更新8/6

作中でブイイを麦粥と紹介していますが、綴りとしてはフランス語のBouilleになりますので、より正確には雑穀類を"煮た"スープの意味になります。実際の食べ物としては、オートミールの類だと思っていただければよろしいかと。もっとも、オーツ麦だけでなく大麦やライ麦などの麦類を混ぜ合わせて作っているので、純粋にオートミールとは言い難いのですけど。
セタンタたちが食べていたブイイは、実を言うと穀物の比率が多いためいわゆるオートミールに近いペースト状*1なのですが、一般に食べられているブイイはもっと水気が多い「水粥」に近い物です。穀物が足らない分は、野草や根菜などを入れて炊いたりします。ですから、穀物たっぷりで贅沢な味わいのブイイをイヤそうに食べているセタやホーサらは、フィオナ辺りに言わせると「口の驕ったヤツ」と言うことになるわけです。
さらに余談ですが。
ホーサの故郷であるスキティアは乾燥した大平原であり、穀物生産は一部地域でしか行われていません。そのため、主食は各種乳製品と肉類であり、穀物はむしろ嗜好品です。彼らが好んで食べる穀物製品はナンやトルティーヤに似た無発酵パンです。
一方、ケルベロスの出身地というか育て親トートの拠点であるアレキサンドリアやヘルモポリスは、大河ニジェリ川の河畔に沿って広がる広大な穀倉地帯にあります。ここでは小麦の生産が非常に発達しており、庶民でも薄焼き発酵パンやビスケット類を日常的に口にすることができます。そのため、ブイイなどの麦粥は宗教的な儀式の時でもなければ食卓に供されることはありません。むしろお粥としては、長粒米と魚介類や野菜類を合わせて煮込んだスープ(リゾットに近い)の方が馴染み深い食べ物です。
なぜわざわざお粥の話なぞ書いたのかというと、いずれ超有名なお粥大好きっ子*2が登場するので前振りとして書いておきました。


さらに余談。
コメント欄にも書きましたが、ジャガイモやサツマイモ、トウモロコシやトマト、あるいはサトウカエデなどの新大陸由来作物もいずれ登場します。甜菜とかサトウキビ、オリーブや柑橘類なんかの話もそのうち書いていこうと思います。
……なんか、ちっとも夢が広がらねぇファンタジー世界だな、おい。

*1:英語でpasteと言うと接着糊のような「食べられない」物を指すそうですので、この場合『お粥状』と言うべきでしょうか。

*2:いや、ホントはオッサンだけど