優しい声よりイモがいい

先日の日記のコメント欄(http://d.hatena.ne.jp/chon/20060807/p1#c)にまとめてお返事を。いつもコメントありがとうございます。

>guldeen様

『スペインが新大陸から輸入したジャガイモは、のちに「ヨーロッパを飢饉から救った」と称されるほどの作物となるまでに普及しましたね。しかしロシアとかドイツとかって、よくあんなにジャガイモばっかり食ってて飽きないもんだと思いますが…。
ちなみにジャガイモやトマトなどナス科(あとチョウセンアサガオやタバコも…)の植物は、通常の植付けですと微量元素の関係で『連作』(同じ畑で作物を2年以上作ること)が効かないため、畑をしばらく遊ばせたのちに生えた雑草を鋤き込んで肥しにするなどの措置が必要になってきます。』

アイルランドスコットランドなどでも、ジャガイモは重要な作物として近世農民の食を支えてきましたね。
母の実家が農家でジャガイモの栽培をやっていたもので、私自身もジャガイモの栽培を手伝ったことが何度かあります。連作障害の話も祖父に聞きました。祖父の畑では、施肥しながら他の作物(確かキャベツとか)と輪作をしていたと思います
異世界日記の世界でも、アローン地方は元々土地生産力があまり豊かではないので、休耕期間を長く設ける二圃制や三圃制が主体となっています。この点は、連作障害云々以前に、食生活が肉や乳製品に大きなウェイト大いているため、食料生産も牧畜に重点が置かれているのも影響していますが。
あと、連作障害の厳しい作物としては甜菜もありますね。連作障害回避のための輪作により作付け面積が少ないこと、甜菜自体の品種改良が進んでいないこと、さらにはサトウキビの産地から非常に遠いこともあり、アローン地方では砂糖はなかなか高価な調味料です。


>食用人外様

異世界本編にコメントをいれてきましたが、こちらにも同ネタがあるので、つい反応を。

>よくあんなにジャガイモばっかり食ってて飽きないもんだと思いますが

我々が銀シャリを毎日食っても飽きないがごとき、と(笑

米やジャガイモは人口を支える作物ですから、食品保存や流通、経済が発達するまでは、まさにそれ以外の選択肢が存在しない時代が長く続くわけで。その結果、民族の(食)文化になってしまうのでしょうね。
ぬくければ米、寒ければジャガイモ、温暖で歴史的に豊かな地域であれば麦類になるのではないかな〜と思ってます。近隣からの文化伝播にもよりますが。』

ジャガイモは寒冷地でも乾燥地でも育つ上に栄養価の高いスグレモノですね。それに料理の食材としても様々な使い道がありますし。(いや、これはいっぱい獲れて飽きたからレパートリーを増やさざるを得なかったのか。)
ところで、ジャガイモの栽培地は元々大麦や烏麦、オーツ麦やライ麦を細々と、それこそ捲かないよりましだから捲いているといった程度に栽培していたところでした。一方、現在の小麦栽培地は灌漑、特に地下水のくみ上げによって小麦の栽培が本格的に行えるようになった地域が多いですね。さらに米、特に水稲は小麦の栽培地域よりも降雨量が多い地域で栽培されています。稲の場合は、麦類よりも栽培に必要とされる水の量が多く、多雨地方でないと生産が難しいようですね。
もっとも、稲でも麦でも20世紀半ば以前の作付け面積あたりの収穫量は現代より遙かに落ちるそうで、品種改良や土壌改良・灌漑あるいは農薬といった技術の全体的な進歩がどれだけ寄与しているか、推して知るべしですね。

『妄想追記:
ワンコから故郷の米の存在を聞いた「魂は日本人」のセタンタ
一も二も無く、初の遠征先をアレキサンドリアに。
争奪レースはワンコ大きくリードです(大嘘』

ヌビアサマリアなどで食されている米は、ほとんどの場合エディアからの輸入品だったりします。一部ギリキアやペリシティアでも生産されていますが、どちらかというと扱いは主食と言うより『野菜』に近いかもしれません。品種はいわゆるインディカ米です。
おにぎりを作ろうとして握っても握ってもポロポロこぼれる有様に涙するセタンタが目に浮かびます。(ちょい嘘