オンライン小説書きの心得7箇条

最近、他のオンライン小説書きさん*1といろいろ意見交換したりする機会が増えて、『オンラインで小説を書く』事について考えることが多くなりました。
わたしがNIFTYで小説をちょぼちょぼと発表し始めたのは93〜94年頃だったのですが、それから10年以上経って、アマチュアの小説書きが活動するフィールドがインターネット上に完全に確立された感があります。
プロの人がネット上で作品を発表してちゃんと食っていけるのか、プロ志望のアマチュアがネット上で活動しながらプロへとステップアップできるようになったか、その辺がどうなのかは分かりません。ですがひとまず、『手元で書き上げた作品を不特定多数の人に見てもらう』為のコスト*2、あるいは流通手段のハードルは確実に低くなっています。HPの作成にしても、わたしのようにブログを使ったりサービスプロバイダ提供の作成ツールを使えば、HTMLを使いこなせない人間でもそれほど苦労はせずに済みます。
そんな感じでアマチュア小説書きにとってオンライン上での活動がやりやすくなっている昨今ですが、その一方で、オンラインならではの気の使い方やアピールの仕方などもあるように思います。原稿用に執筆したモノを郵送して投稿したり、肉筆回覧をサークル内でしているときとは違うマナーやノウハウがあるように思います。
私自身、特段成功したオンライン小説書きというわけでもないのですが、無駄に長くオンラインで活動しているせいか、個人的にノウハウっぽいモノはたまりつつあるように思います。誰の役に立つというわけでもありませんが、自戒のためにそれを整理してひとまず7箇条にまとめてみました。で、折角なので掲載してみたいと思います。

1.自分が何を書きたいのかはっきりとしましょう。

オンライン小説は、正直なところ今や書き手が多く供給過多気味です。ですから、他の作者さんとネタがかぶったり、展開が似通った作品になってしまう事も少なくありません。そんな時、凹んだりショックを受けたりせずに書き続けるためには、ある種の耐性というか図太さが必要です。
しかし、オンライン小説書きは生来図太い人ばかりではなく、むしろ自分の作品については非常に繊細な人が多い。そういった人がネタかぶりなどで動揺せずに作品を公開し続けて行くには、自分の書いている作品についての自信が必要になります。そして、その自身は「何となく書き始めた」作品からは決して生まれません。自分が書いている作品が「どんな内容の作品なのか」「どれくらいの長さの作品なのか」「誰に読ませるための作品なのか」「どのくらいの期間で書き上げるのか」「なぜその作品を書くのか」。それらを出来る限り明確に意識して執筆しないと、オンラインで執筆を続けることや、サイトを運営していくことは難しいでしょう。

2.他のサイトや作品を良く研究しましょう。

私たちオンライン小説書きが執筆する作品は、ごく有り体に言えば、殆どの場合何某かの「ジャンル」に属したモノになります。例えば異世界召喚ファンタジーであったり、時間転移架空戦記であったり、オンラインゲームモノであったりします。二次創作の場合などは言うまでもなくジャンルが成立していることを前提に書かれるモノです。もちろん、それらのジャンルに属さない、全く新しい作品であればそれに超したことはありませんが、基本的には「私たちの執筆する作品は必ず類似の作品が既に存在している」と考えた方がいいでしょう。
そうなると、同じジャンルに属するサイトや作品は、あなたにとって同業者でありライバルであると言えます。となれば、ライバルを偵察し、情報収集し、どう差別化していくかアイディアを練らない限り、既に先行しているライバル達に勝てるはずもありません。もちろん、事は小説なのでただ勝てばいいというモノではありませんが、自分の作品がどのジャンルのどの位置を狙ったモノなのかは明確に認識しておく必要があります。

3.サイトは見やすく作りましょう。

小説を掲載するサイトを営む上で、とにかく大事なことは「作品が読みやすい」ことです。そのためには、「サイトのどこに作品が置いてあるか分かりやすい」「小説掲載ページのデザインが見やすい」の二点を心がける必要があります。
実際にどういったページを作ればいいかというのは、いろいろな「Webサイトの作り方」を掲載したページがそれこそ山ほどあるので参考にしていただくとよろしいと思います。
個人的なポイントとしては、

  • トップページ(インデックスページ)から2クリック以内で作品を読み始められること。
  • 次の話を読むときのナビゲーションを分かりやすく配置する。
  • 小説本文の掲載ページは、左右の余白と行間を十分に取る。
  • 本文の文字にかぶる画像や背景を入れない。
  • 文字は大きく、疲れず読みやすい配色を心がける。

といった辺りに留意するべきだと思います。
どんなに優れた小説でも、最低限の"読んで貰うための配慮"をしなければ、ちゃんと読んで貰うことは出来ません。

4.感想を貰う方法を用意しましょう。

小説を読んで貰う努力をすると同時に、感想を貰う努力も必要です。小説書きは、発信するだけで満足するかというと普通はそうではありません。自分の書いた作品に対するレスポンスがなければ、評価を次作の参考にしたり、モチベーションを維持・喚起することも出来ません。
感想を貰う方法としては、一般的に掲示板やメールで感想を貰うようにしているサイトが多いのですが、掲示板は感想をほかの人に読まれることから、メールは文面に気を使うことやメールアドレスが分かってしまうことなどから、なかなか感想を送りにくい面があります。ですので、より心理的ハードルの低い一行掲示板やWeb拍手を導入したり、掲示板でのレス返しをこまめにするなど、読者からのレスポンスを少しでも拾いやすくする努力が必要です。

5.宣伝活動を真面目にしましょう。

サイトを開設してもすぐにお客が来て小説を読んでくれる事はまずありません。普通の小説掲載サイトは、開設してもしばらくの間は閑古鳥が鳴くことでしょう。
お客が来ない→やる気がしぼむ→作品を書かない→お客が来ない→やる気(ry
という悪循環に陥らないためには、一人でも多くの読者を獲得するための努力が必要です。
そのための方法としては、

  • 主要な検索サイトやリンク集・同盟等に登録する。
  • 宣伝掲示板などに更新報告をする。
  • 同じ方向性、あるいは読者層がかぶりそうなサイトに相互リンクして貰う。

などがあります。ただし、相互リンクは慎重に丁寧に交渉を進めないと、かえって瑕疵になることがあります。
また、大手サイトで設置されているおすすめ作品紹介掲示板などに「自作自演」をする方法もよく見られますが、これは殆どの場合見破られて逆効果になります。あくまで、宣伝活動は良識の範囲内でやらなくてはいけません。

6.定期的に作品を公開しましょう。

これはかなり重要です。サイトが「生きている」のか「死んでいる」のかは、極論するとサイトの更新間隔で判定されると言っていいでしょう。どのくらいの期間で更新していくかは人それぞれですが、最低でも1ヶ月に1度は何らかの更新をするべきです。2ヶ月以上更新がないと、「このサイトは死にかけ」と判断されますし、半年以上更新していないサイトは「ほぼ死んでいる」と考えられます。また、集客量の問題からも、サイト開設からしばらくの間*3は、更新頻度を多くした方がよいでしょう。
また、定期更新の期間を決めたり、更新予定をあらかじめ掲示しておくのも良いと思います。それを守れない場合に信用を失う危険性もありますが、何も言わずに更新を止めるよりもはるかによいかと思います。

7.冷静で常識的な発言を心がけましょう。

オンライン小説書きを続けていると、他の小説書きさんやオンライン小説読みの人が集まるコミュニティに出入りする機会が増えてきます。また、掲示板などで読者と交流する機会も増えてくるでしょう。
このとき、発言には最大限の注意を払いましょう。
オンライン小説書きは、自分で思うよりも多くの人から見られています。感想が10回来れば、大体1000人以上の読者がいると見ていいでしょう。つまり、掲示板などで記名して書き込みすることは、公共の場所で名前を名乗ってから発言するに等しいのです。また、現実発言は必ずしもあとに残るとは限りませんが、Web上での発言は必ずデータとして残ります。一度おかしな発言をしてしまうと、それが永久に記録されてしまうかもしれません。
もちろん、誰もが瑕疵のない発言だけを出来るわけではありません。時に間違ってしまうこともあるでしょう。そういったときは、誠意のある対応を心がけるようにしましょう。隠したり証拠を隠滅したり、逆ギレしたりすると、余計に問題を大きくしてしまいます。
もし、冷静さを失ったと思ったときは、一度頭が冷えるまで待ってからレスポンスを返すようにしましょう。


なんか、思ったよりつまらないというかごく当たり前のこと(そして自分でもちゃんと出来ていないこと)しか出てこなかったことにちょっと愕然としております。が、とりあえず自分のために書き留めておきます。

*1:Web小説家でもネットノベル作家でもかまわないが

*2:金銭的な物や労力

*3:半年から1年程度